ホテルニューアカオ訪問記/漂流するアートホテル

旅行にまつわる話
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波間の古城

2021年12月、休館中のホテルニューアカオ。

館内全体を使ったインスタレーションがおこなわれると聞き、久々に東海道線で熱海まで訪ねてきました。

街全体で開催されるアートプロジェクト「ATAMI ART GRANT」の一環です。


和洋折衷ともデカダンスともとれるこのホテル独特の空間と装飾は、近年建築家やインフルエンサーがSNSでとりあげて再注目されていました。

建築構造的にも何十メートルもの崖地に大掛かりな足場を組んでつくられた、アクロバティックかつ唯一無二のホテルです。

時代を感じされるロゴもレトロブームに乗り、Tシャツなどが人気を博してます。 


ロープウェイで相模湾に浮かぶ熱海の街を眺めながら、山道をゆっくり登り丘の上をめざします。


カゴから降りたつとホテルを見おろす展望台へ。

そこからしばらく歩いて下り、ホテル入り口にたどり着きます。


静寂とデカダンス

ロビーでは目の前に広がる涼しげな海が耽美と退廃の入り混じったインテリアと向き合い、詩的な雰囲気を十分に醸し出しています。


蒼とゴールドの装飾の織りなす宴会場へ。

かっての椅子や什器が取り払われた空白の室内はそれ自体が芸術作品の佇まいです。


そこにアート作品が慎ましやかにインスタレーションとして点在しています。


各部屋ごとにもインスタレーションが。

ATAMI ART GRANT だけで50組の作家が参加しています。


螺旋階段を下階に降りていきます。

和洋折衷・バロックな意匠のなかにも、それとなく海のイメージを漂わせる館内装飾です。


悠久のホール

さらにエレベーターで地下へ深く潜り廊下を抜けていくと、荘厳なホールが目の前に開けてきます。

かっての機能は食堂ながら、大海原を舞台にみたてた劇場を思わせる佇まいです。

さざなみに対峙した空間だけが、波間に漂流する客船のように静寂をたたえてます。


そしてプールサイドにもインスタレーションが。

ありし日の影と作品がオーバーラップしています。



観劇を終えて

ロープウェイを降りて、再び日差しの照りつける熱海の街へ。

今日は人影もまばらだったものの、最終日は順番待ちの長蛇の列ができていたとのことです。


今後はリブランドされ、新たなリゾートホテルとして生まれ変わる予定のニューアカオ。

アートピースとしての建築をこれからどう活かしていくのかが楽しみです。