岡山の人気者といえば千鳥です。
千鳥の2人は井原・笠岡の出身なので県西部の人です。
千鳥の特徴はなんといっても独特の話し方ですよね。
関西の話し方がミックスされているので、純粋な岡山弁ではありませんがクセが強いですね。
真似してみるととても楽しいですよ。
いや、真似すりゃーぼっけぇ楽しいで。
今回は過去に掲載していた岡山弁記事を再構成して岡山弁の世界を掘り下げます。
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岡山弁なのにロシア由来の方言「トーチカ」
「トーチカ」はザリガニを意味する岡山の方言です。
「トーチカエビ」とも言います。
この単語は岡山弁の中でもロシア語由来という変わった言葉です。
岡山県民の間でも若い世代には浸透しておらず、年配の人が使う言葉です。
「トーチカ」が県民に深く浸透する前に、標準語の「ザリガニ」という表現が一般化したため絶滅危惧単語になってしまったと思われます。
しかし、どうしてザリガニが「トーチカ」なんでしょうか?
「トーチカ」とはロシア語で「防衛陣地」
ザリガニは川や池、そして田んぼなど淡水にすむ生き物です。
岸辺や畔に穴をあけてしまうことから「トーチカを作るエビ」=「トーチカエビ」となったようです。
そんな言葉の背景・成り立ちを知ると復活を祈りたくなる言葉です。
小さい子には「トーチカ」という岡山県特有の呼称を教えてあげましょう。
ニワトリみたいな岡山弁「こけーけー」
「こけーけー」は「ここに来てください」という意味です。
ケイコさんに呼びかけると、「ケーコ、ケーコ、こけーけー、ケーコ」になってしまいます。
関西の「ちゃうちゃうちゃう?」がありますが、岡山弁も負けていません。
岡山弁は「え」の音で伸ばすことが多い
岡山弁では、「~は」「~を」「~に」「~へ」といった格助詞を直前にある名詞と融合して発音するルールが多用されます。
なので、岡山弁では「ここ+へ」=「こけー」と表現します。
ちなみに、「あそこへ」は「あそけー」になります。
では、「けー」はどういう成り立ちか見てみましょう。
ここからはすこし難しいので、読み飛ばしても大丈夫です。
動詞「来る」はカ行変格活用ですから命令形で「来い」となるのですが、岡山弁では「けー」といいます。なぜでしょうか。
ここで登場するのが、「連母音の融合」です。
「来い」の母音は「oi」ですね。「oi」という母音の場合、岡山弁では「eː」に変化します。
つまり、「koi」が「keː」になるんですね。
こうした連母音の変化が起きるのは、全国的にも限られた地域にみられる特徴です。
この「連母音の融合」は岡山弁ではよく出てくる現象なので、しっかり押さえておきたいポイントです。
若い人に岡山弁で話しかけても通じない
若者に方言で話しかけると、「え?」って言われることが増えてきました。
高齢者と同居している若者は大丈夫ですが、親もめったに岡山弁を使わないという家庭も増加傾向のようです。
岡山県民なのに岡山弁が理解できないのは大問題です。
標準化された言葉も大切ですが、故郷でしか通じない表現も大切にしたいものです。
核家族化も進み人の移動も激しくなっている現代社会では、方言を知らない人が増えていくのもやむを得ません。
しかし、地元に根を下ろして生活する人々には生まれ育った地域の言葉を使い続けてほしいと思います。
いまなら古い方言を知っている人から直接教えてもらうこともできるでしょう。
これからも折に触れて深遠な岡山弁の世界をご紹介したいと思います。