今では絶滅危惧種となってしまった寝台特急。
岡山にはまだ走っています。
サンライズ出雲・サンライズ瀬戸という寝台特急をご存知でしょうか。
東京駅を22時00分に出発して岡山・山陰・四国方面に向かう電車寝台です。
私が小さいころは在来線にたくさんの寝台特急が走っていましたが、今ではほぼなくなりました。
その昔、初めて東京都に行った時は新倉敷駅から「寝台特急あさかぜ」に乗ったことを覚えています。
暗闇の中を走る長距離列車は独特の雰囲気があって楽しいものです。
サンライズ出雲・瀬戸はそんな寝台列車の楽しみを感じることができる貴重な列車であり、上手に利用すればとても便利な列車でもあります。
サンライズ出雲・瀬戸ってどんな列車?
サンライズ出雲とサンライズ瀬戸はどちらも寝台特急です。
東京と山陰・四国を結ぶサンライズは、岡山でサンライズ出雲とサンライズ瀬戸を分割・連結して運転されています。
寝台はすべて個室で、ドアロックもかかるのでセキュリティも心配ありません。
女性の乗客も多く、サンライズ出雲は出雲大社への参拝者で週末は大混雑しています。
サンライズ出雲・瀬戸は昔の寝台とココが違う
往年の寝台列車とはちょっと違う現代的な寝台特急です。
昔の寝台列車といえば機関車が客車を引っ張るブルートレインでした。
「3段ベッド」だったですね。
食堂車もあったりね。
さて、そんな古めかしい寝台列車とサンライズの違いをいくつかご紹介しておきましょう。
サンライズは電車寝台なので、先頭に機関車は連結されません。
そのため、発車・停車時の揺れも少なく快適な乗り心地です。
昔の寝台は運転手が下手だと「ガッシャン」となってましたね。
サンライズの寝台はすべて個室です。
ドアロックがかかるようになっていますから、セキュリティやプライバシーを守る意味でとても安心ですね。
ちなみに指定席券で利用可能な「のびのびシート」も用意されていますが、「のびのびシート」は寝台ではないので個室ではなく鍵もありません。
とにかく安く乗りたいって人にはオススメですが、快適に過ごすなら個室がいいですよ。
サンライズの車両は2階建てになっています。
1階の寝台ではホームを真横に眺める窓、2階の寝台では星空を眺められる大きな窓があります。
また、個室の内装は木目調の落ち着いた雰囲気です。
サンライズには食堂車はありません。
豪華な寝台列車には食堂車が連結されていましたが、サンライズには食堂車はありません。
車内販売もありません。
自販機があるくらいです。
なので、乗車する前に食事を済ませるか車内に持ち込むようにしないと飲まず食わずになってしまいます。
サンライズの運行路線
サンライズ出雲は東京ー出雲市、サンライズ瀬戸は東京ー高松を連絡する列車です。
出発地・目的地が異なりますが、サンライズ出雲とサンライズ瀬戸は東京ー岡山間では連結されています。
下りのサンライズは岡山駅で分割されますが、上りのサンライズは岡山駅で連結されます。
岡山駅では必ず分割か連結の作業がありますから、ちょっとだけお買い物の時間があります。
あるいは、珍しい分割・連結作業を眺めるのもおもしろいですよ。
サンライズ出雲は伯備線を通るルートで岡山ー出雲市を結びます。
一方のサンライズ瀬戸は瀬戸大橋線を通るルートで岡山ー高松を結びます。
サンライズを上手に使う方法
さて、サンライズの基本的な情報はこれくらいにしてそろそろ賢い利用方法をご紹介しましょうかね。
さっきの運行路線を見てわかった人がいたら、なかなかの鉄道通です。
普通の人は気が付かないんですよ。
上手に使えば、サンライズの特急料金は半額になります。
やり方はとても簡単です。新幹線と在来線特急の乗り継ぎ割引を利用するんです。
東京方面から倉敷に来る人にはとっても使いやすいので試してみるといいですよ。
JRの乗り継ぎ割引とは
JRでは新幹線と在来線特急を乗り継いだ場合(東京駅での乗り継ぎは除く)、在来線特急の特急券が半額になる「乗り継ぎ割引」が存在します。
新幹線から在来線特急に当日中に乗り継ぐ場合に割引が適用されるほか、在来線特急から新幹線への乗り継ぎの場合は翌日でも良いとされています。
このルールは「サンライズ用」の寛大な割引サービスとしか思えないのは私だけでしょうか。
たとえば、サンライズ瀬戸で東京から岡山まで移動して岡山から新幹線に乗って広島まで移動した場合でもサンライズの特急券は半額になります。
さらにさらに、サンライズ瀬戸で東京から岡山まで移動して岡山から新幹線に乗って新倉敷まで移動した場合でもサンライズの特急券は半額になります。
↑↑
これ、大事です。
東京から倉敷までサンライズで来る人にオススメの乗り継ぎ
東京方面からサンライズに乗車する人の多くは出雲市に向かうんでしょうが、倉敷に来てほしいのでマニアックな乗り方を例に乗り継ぎ割引の効果を説明してみたいと思います。
普通に手配するとサンライズ出雲で東京ー倉敷間の乗車券・特急券・寝台券を購入しますよね。
しかし、それよりも安く購入する方法があります。
ポイントは次の3つです。
- 乗車券は東京ー新倉敷で購入券
- 特急券・寝台券は東京ー岡山で購入
- 新幹線特急券は岡山ー新倉敷で購入
東京から倉敷まで寝台列車で移動する場合、サンライズ出雲を予約する必要があります。
サンライズ出雲は山陰方面に向かう人で週末は満席になっていることが多く予約が難しいことも。
でも、岡山までサンライズ出雲と連結して運転されるサンライズ瀬戸なら週末でも空席があったりします。
「倉敷に向かうならサンライズ出雲じゃないとダメ」と思っている人が多いですが、実はサンライズ瀬戸でも問題ありません。
岡山でサンライズ瀬戸を降りて、山陽本線か伯備線の普通列車で倉敷に向かってもいいのです。
では、新幹線にはいつ乗るのでしょう。
新倉敷は??って思った人、その通りです。
倉敷と新倉敷は別の駅です。
美観地区や大原美術館のある倉敷に向かうにはJR倉敷駅で降りないとダメです。
ということは、岡山ー新倉敷の新幹線は乗らないの??って疑問が生まれますね。
はい、乗りません。
新幹線特急券は買いますが、新幹線には乗らず在来線で倉敷に向かいます。
元々乗車券は東京ー新倉敷で購入してますから、岡山で新幹線に乗り換えず新倉敷よりも岡山寄りにある倉敷駅で下車しても問題ありません。
こうすれば、東京ー岡山間の在来線特急券は乗り継ぎ割引で半額になるのです。
サンライズの料金のうち割引可能なのは乗車券と特急券
乗車券は区間によって異なりますが、片道601キロ以上の区間で往復乗車券を買うと通常運賃の1割引(10円未満の端数切捨て)になります。
さらに在来線と新幹線の乗り継ぎ割引を利用すると「特急券」が半額になります。
サンライズは乗車券と特急料金が必要な列車なので、乗車券と特急券の割引を狙うことが可能ですね。
サンライズの特急料金は3,240円なので、乗り継ぎ割引が適用されると1,620円になります。
でも、ちょっと待ってください。
乗り継ぎ割引で安くなるのは1,620円なので、新幹線の特急料金がそれ以上の値段だと全くお得じゃないですよね?
新幹線の特急料金は2,250円(ひかり号・こだま号)ですから、在来線特急券の割引額より新幹線特急券のほうが高いんじゃないの??って思った人もいるでしょう。
安心してください。
岡山駅でサンライズを降りて倉敷に向かうなら、損しませんよ。
新幹線の特急料金は通常の料金では高いですが、新幹線停車駅の隣り合う駅(隣同士だった駅も含む)の区間(例えば岡山ー新倉敷とか、東京ー新横浜)の乗車なら特急料金が格安になります。
自由席特急券のみに限定された取扱いですが、岡山ー新倉敷間のこだま号なら860円で特定特急券を利用可能です。
乗り継ぎ割引は特定特急券を利用して新幹線に乗った場合でも在来線特急券が半額になります。
乗り継ぎ割引を活用すれば、特定特急券の購入に860円かかりますが在来線特急券は1,620円安くなります。
片道で760円・往復1,520円も節約です。
さらに、乗車券を往復で購入しておくと往復割引が適用されて1割引。
東京ー倉敷の往復だと乗車券のみで通常は20,960円かかります。
往復割引だと18,860円になりますから2,100円節約です。
乗車券・特急券を合わせれば3,620円の割引を受けられるなんてお得ですよね。
サンライズで東京ー倉敷を往復するとシングル利用で42,560円かかりますが、往復割引と乗り継ぎ割引の適用で38,940円で利用可能になるのです。
ちなみに、サンライズは寝台特急なので、乗車券と特急券と寝台券(のびのびシートは不要)が必要です。
寝台券は利用する個室によって料金が違いますので念のため表で確認しておいてください。
タイプ | 料金(1人あたり) |
---|---|
シングルデラックス | 13,730円 |
シングルツイン | 9,430円 |
シングル | 7,560円 |
ソロ | 6,480円 |
シャワー券やアメニティーも付いているシングルデラックスと簡素な設備のソロでは料金が2倍ほど異なりますね。
案外コスパのいい寝台列車
寝台列車は夜の間に在来線を走る特別な列車です。
東京ー岡山間の鉄道事情で考えると、サンライズに乗れば新幹線の最終よりも遅い22時に東京を出発して早朝6時半には岡山に着くので一日をとても有効に使えます。
「寝ている間に運んでくれる」ので、前泊・後泊の必要もありません。
そして、運賃もちょっと工夫して購入すると新幹線や飛行機と大差がありません。
週末の旅行にも便利で女性にも利用されやすいサンライズは、関東から中国四国方面への鉄道旅を身近にする存在。
金曜日に22時に東京を出発し日曜日の22時14分に倉敷を離れるプランなら、丸2日かけて倉敷や四国など中国四国を楽しむことができます。
月曜の7時8分には東京着。そのままお仕事へ。
こんな旅行が楽しめるのは寝台特急を利用するからこそ。
意外に旅先での滞在時間を豊かにしてくれるサンライズを使って、倉敷にフラッと遊びに来てくれたら喜びます。