建築家ホテル行脚の旅へ【前編】

旅行にまつわる話
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今回はいつもと趣向を変えて、国内で私がいままで訪れたホテルから、「建築家によるデザイン」という視点でいくつかピックアップしたいと思います。

これからの主役はスモールラグジュアリーや個性派と言われる昨今のホテル業界。

建築家はその一翼を担っているかもしれません。

望楼NOGUCHI函館 / 中山真琴/北海道

ニセコの坐忘林などを手がける中山アーキテクツによる温泉宿のリノベーションです。

1階に広がる水景のロビー空間が圧倒的です。


漆黒の水盤に浮かび上がる赤い壁面と長大なカウンターの温かみが、北国独特の厳しい空気との対比を生み出しています。

一部の客室はメゾネット型のラグジュアリー仕様に改修されています。

くわしくは公式HPをどうぞ。


水盤の中に鎮座する、しっかりとつくりこまれた茶室。


ここまで水を贅沢に取り込んだ異的空間は都内にはないでしょう。

同じ水景でも、日本橋のマンダリンオリエンタルのラウンジとはまた違った静謐さです。


広々とした屋上露天風呂からの景色はなかなかです。


中の大浴場は昔ながらの温泉宿の風情です。


旅庭 群来 / 中山眞琴 / 北海道

函館から日本海に向かって車を数時間とばした江差市。

わずか6室のスモールラグジュアリーがそこにあります。


望楼NOGUCHIと同じく中山アーキテクツによる[群来]です。

迷宮の入り口のようなコンクリートの塀をくぐると、ひとつの囲まれた箱庭世界へといざなわれます。


ひっそりとしたエントランスを抜けて客室に案内されると、、、


冷たくも荒々しい日本海にオーバーラップした[石の海]が眼前に現れます。

そこで過ごす時間は一種の日常からの逃避行をあらゆる世代に体験させてくれるでしょう。


全6客室は全てスイート仕様で温泉も各部屋内完備。

完全な「おこもりスタイル」で、ドリンクも電話一本でロビーからフリーで運んでくれます。

別室ダイニングのディナーで供される自家農場の羊料理もまた格別です。


食事を除き部屋の中だけで完結されるスタイルですが、不思議と時間が経っても景色を眺めるだけで飽きることがありません。

都市型でもない限り、ホテルはやはり[ビュー]が重要要素でしょうか。

リゾートではそれに加えアクセスすなわち[アライバル]の体験も大事だと言われています。


ATAMI 海峯楼 / 隈研吾 / 熱海

今や日本で知らない人はいない建築家・隈研吾が青年時代に設計した熱海のゲストハウス[水/ガラス]がホテルとして生まれ変わり、相模湾を望んでいます。


全4室のまさしくスモールラグジュアリーは今でも上階のスイートなど予約困難な最高級の宿です。

インフィニティプール越しに刻一刻と変わる相模湾の風景が、来客のこころの重しをクリアにしてくれます。


ラグジュアリースイートルーム誠波から見えるインフィニティの水盤。


ゆっくりとくつろぎながら地平線と水盤が混ざり合う景色を楽しむことができます。


ウェットエリアにはガラスを多用してあり、バスもガラス張り。

ここでも地平線と同化する海を眺めながら癒しの時間を過ごす事ができます。


上階スイートおよびガラスのダイニングは見学のみでしたが、泊まった下階の和室も風情ある眺めとコージーさでした。


ATAMI 海峯楼にある唯一の和室「爽和」。


窓辺にはクッションが敷かれており、海を眺めながらくつろぐことができます。

ベッドはセミダブル。

ゆったりと快適に眠ることができます。


木を多用した室内と浴室。


金屏風に囲まれた空間は大広間「楽情」。

版画家徳力富吉郎氏による襖絵には波が描かれています。


水景をつたってアクセスする屋内温泉は貸切。

ダイニングルームで味わう夕食の会席もご覧の通り。

目にも舌にもおいしい時間を提供してくれました。


HOTLE KEYFOREST HOKUTO / 北川原温 / 山梨

独自の世界観をつくりあげる建築家・北川原温が自身の設計したキースヘリング美術館に併設してデザインしたそれぞれ形状の異なる計6室のホテルが山梨の高原にあります。


見ての通り建物そのものが不整形のアート作品。


しかし、それでいて快適な滞在とアットホームなサービスを約束してくれます。


徒歩圏内にスパ(貸切制)と日本では珍しいキースへリングの個人美術館があり、まさしくアートトリップな滞在を満喫できます。


それでは後日投稿の後編に続きますので、しばしお待ちください。



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この記事を書いた人
深尾紀彦

ステイ・アート代表
ホテルを中心に様々なアートプロジェクトやコンテンツ制作をおこなっています。
一級建築士でホテル・リゾート企画設計、デザイン等も行います。
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