灼熱の都会から
6月の末日、うだる炎天下から逃れるように箱根へと足を向けます。
東京駅に立ち寄り、大丸地下で少し奮発した弁当を買いこんだあと東海道線に乗り込みます。
小田原より箱根湯本へと抜け、登山電車で別荘地の強羅駅まで。
シャトルバスの送迎で本日の宿、ハイアットリージェンシー箱根へと向かいます。
日本有数のリゾート地で企業の保養所も多いエリアですが、厳しい坂に囲まれるためアクセスは車頼みです。
大きく弧を描くポーチをくぐるとホテルの敷地へ。
車を降りると都会とは違う涼しさが体を包みこみます。
箱根の外資ホテル
ひさびさのチェックインです。
当時はまだ珍しかったテーブル越しのゆったりしたチェックインスタイルも80室ほどのスモールラグジュアリーならではの対応です。
強羅の会員制リゾートがハイアットとデザイン事務所・スーパーポテトの手によりリブランドされてから、もう16年になります。
日本のホスピタリティを持ちながらも、箱根における外資系ホテルの先駆けといえるでしょう。
客室はマウントビュー
今回はロビー直結のアクセシブルルームを当日予約。
その名の通りスパにもラウンジにもストレスフリーに近距離でアクセスすることができます。
共用部メインで滞在したい時や外出の多いときはとても便利でしょう。
水まわりもユニバーサル対応でかなり広いつくり。
その分ベッドルームの奥行きは他の客室よりも気持ち浅めですが、もともと50平米ほどの広いつくりのため、ほとんど気になりません。
景色も明神ヶ岳をはじめ箱根の山景に開けています。
ミニバーなどの什器も箱根の木工芸をモチーフにささやかにリニューアルされています。
ミネラルウォーターもアルミ製のリユース可能なつくりに。
館内のウォーターサーバーで各々補充できるしくみで、サービスのスタイルもサスティナブルに更新されています。
お目当てはカクテルタイム
客室からロビーを抜け降りていくと、このホテルの代名詞ともいえる暖炉を中心とした弓形のラウンジに。
席に着くとまもなく夕刻のカクテルタイムがはじまります。
シティホテルのクラブラウンジ同様、フリーフローでアルコールを含めたドリンクが開業時よりサービスされています。
ピーチリキュールの本日のオリジナルカクテルのほか、レッドアイなど注文すると手元でサッとつくってくれるスマートさです。
まだ十分に明るいため、中庭の豊かな緑とドリンクを借景に寛がせていただきました。
平日ということもあり、航空会社の夫人や海外からの方など比較的落ち着いた雰囲気の方々が談笑にふけってました。
テラコッタの迷宮
共用部の内装デザインはスーパーポテトによるバナキュラー(土着的)かつコージーな改修ですが、ラウンジ隣のレストランは今まで朝食以外利用しなかったこともあり、今回ゆっくり見学させてもらいました。
木片やテラコッタのブロックが織りなす力強くもリズミカルな壁面がオリエンタルな迷宮の様相を呈しています。
この空間の魅力にはまり、結局ディナーもここでいただくことに。
席に通されると絶妙な塩加減のリゾットや柔らかな鶏胸肉のグリルをなど、地産地消のシンプルながらも思わず声が出てしまうほど美味なメニューを味わうことができました。
リゾートの夜
食後、大浴場でリラックスしたあと夜の館内を散策します。
平日のリゾートはひと気のなさが少し寂しいものですが、穴場や静けさが好きな人には願ってもないことでしょう。
闇が深まるにつれ、箱根のリゾートにもハイアットらしい縁取られたアメリカンモダンが醸し出されてきます。
朝もゆったりと
遅めの朝食をディナー同様ダイニングでいただきます。
ビュッフェ形式でメニューはスタンダードかつ素朴ながら、シェフが直接仕入れる神奈川の新鮮な食材は別格のみずみずしさがあります。
ここでの食事だけを目的に都内から訪れるお客さんもいるとのことです。
このご時世で地産地消のホスピタリティは強いといえるでしょう。
クールなサービスと避暑地をあとに
結局今回はチェックインから一度も外に出ず、夕方から翌日昼まで移りゆく箱根の景色とともに、ホテルでの時間の流れを清涼感のなか楽しみました。
そしてシャトルバスの送迎で小田原まで。
緑豊かな中庭と雄大なラウンジを中心に据え、眺望や導線など計算し尽くされた建物の完成度。
これに加えハイアットのスマートなオペレーションと日本有数のインテリア事務所によるデザインが完璧な滞在を実現させているといえるでしょう。
【滞在したホテル】