The Okura Tokyo 滞在記/バロン達の集うホテル

旅行にまつわる話
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遺産のロビー


足を踏み入れた途端、他のシティホテルとは一線を画した格式と厳しさが漂うロビー。

各界の著名人に60年近く親しまれる日本の初代近代ホテルの一翼です。


賓客を迎え入れるホテルのアイコンとも言える谷口吉郎元デザインのロビーは旧館建替えの際、世界中の著名人から保存を求める声があがり、柱割のために建築構造に手を加えるほど忠実さを追求した再現に至ったのは有名な話です。


新館全体は息子の谷口吉生のリーダーシップにより近代的なモノリスへと生まれ変わりました。


ロビーを彩るランタンや看板をはじめ、旧館の名残りが館内にところどころ大切に配置されています。


山里の天ぷら

チェックインして荷物を預けたあと、ヘリテージウィングの山里で昼食をとりながらお部屋が用意されるのを待ちます。


オーダーに迷ってると年配の女性スタッフから天ぷら御膳をすすめられました。

ランチタイムではありますがカウンターで揚げたてを出してもらえるようです。


衣も胡麻と大豆の合わせ油で薄く揚げられ、火の通りも絶妙。名前に違わぬ高級店の仕上がりでした。


帰り際寿司カウンターも見学させてもらいました。

長大な天板が立派な3つの無垢のまな板と向き合うモダンな形式美です。

オリンピック時もこちらで立派な会食が催されたのでしょうか。


メイドインジャパン・ルーム

食事を済ませたタイミングで準備の整った客室へ案内されます。


今回の部屋はビューバスタイプのキングベッド。

スクエアプロポーションの回遊性あるプランです。

ベッドルームからバスルームにかけて虎ノ門ヒルズをはじめとした港区のスカイスクレーパーが長大に広がります。


またミニバーのポットの仕掛けなど、日本ならでは気の利いた小細工的仕掛けが随所に見受けられます。


レイン・ボディ・ハンドシャワーがコンパクトに一体となった水回りにはメーカーの執念のような気概が感じられました。


ベースデザインはパレスホテルも手掛けるイギリスのGAインターナショナルによるものですが、仕上がりは明らかに和製を感じさせるそれです。


大人の温浴場

しばらくしてスパへ。

浴室エリアの充実度は都内随一ではないでしょうか。


歴史あるホテルゆえ都内の高級ホテルの中でもとりわけシニアへのホスピタリティを重視している印象です。


リラクゼーション・サロンではデザイナー・水戸岡鋭治氏による高級列車・ななつ星の画集がさりげなくアピールされていました。

今では予約もとれないほどの人気ぶりは、豪華客船にも匹敵するものです。


ウィスキーとともに

来客との予定があったため、夕方のロビーで待ち合わせてオーキッドバーへ。

こちらで飲むのは初めてです。

壁一面にはリザーブされたボトルがならび、それ自体が雄弁にインテリアを特徴づけています。


オーダーしたクラブハウスサンドは盛り付けはシンプルながら、トーストのクリスピーさとチーズの溶け具合が絶妙なハーモニーを醸しだしていました。


渓谷のタワー

そして部屋へ戻ります。


昼は再開発ビルで囲まれた景色もすでに闇に塗り込められています。


ビルの黒い影の切れ間からライトアップされた東京タワーがランタンのように顔を覗かせています。


広がる夜景を肴にバスタイムを楽しんだあと眠りにつきます。



朝のシャワー

起床してお風呂に。

ブラインド越しの朝の日差しがバスルームにシャープな影を落としています。


本物の和朝食

朝食会場は洋食ビュッフェのオーキッドにまずは足を運びます。


祝日ゆえの混み具合で席が空かないこともあり山里で和朝食をとることにしましたが、これが正解でした。


薬膳粥や粕漬けなどインバウンド仕様の外資系高級ホテルとは一線を画す美味で本格的な和の御膳でした。


レイトチェックアウトで余裕を持ちながら朝のスパを楽しんだ後、ロビーカウンターにてチェックアウトです。


渋くて新しい和のホテル

帝国・ニューオータニ・オークラ御三家の中でもいち早くアップデートされたメイドインジャパン・ホテル。


若者がカジュアルに使えるホテルが増えた今でも、この場所は格式を残しながらその威厳をたたえています。


【滞在したホテル】

The Okura Tokyo


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この記事を書いた人
深尾紀彦

ステイ・アート代表
ホテルを中心に様々なアートプロジェクトやコンテンツ制作をおこなっています。
一級建築士でホテル・リゾート企画設計、デザイン等も行います。
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