ARRIVAL
寒空の下、代々木から尖塔のランドマークを目指しながら新宿の雑踏を抜け、ロータリーを登ると凛としたホテルエントランスにたどり着きます。
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食事ではよく足を運ぶものの、泊まるのは約1年ぶりです。
時節柄ということもあり、そことなく人影もまばらなホールを抜け、トップフロアへのエレベーターに乗り込みます。
結城美栄子の暖かみのある彫刻がクールなモダニズム空間と調和しています。
SKY LOUNGE
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昼過ぎの冷やかな明かりに満ちたピークラウンジに到着しました。
アフターヌーンティーの名所でもあるこのロビーはホテルのいわばコートヤード(中庭)でもあり、これだけで完結したひとつの壮大な空間といえるでしょう。
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オールデイダイニングのジランドールを横目にライブラリーへと奥に抜けていきます。
廊下の天井は低くなり、レセプションに至るまで徐々に親密さ、プライベート感が高まる演出がされています。
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香港のジョンモーフォード氏の至高のデザインが30年近く経っても変わらず保たれている様子には、何度訪れても驚かされます。
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本のセレクションや配置はもとより開かれたページ、装飾品のひとつに至るまで氏のディレクションがなされていることは各界で有名です。
RECEPTION
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チェックインです。
スタンディングカウンターでなくテーブルにゆったり座りながらの対応は、当時は珍しかったのではないでしょうか。
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モニターも黒ガラスのテーブルトップに隠れ、その気配を感じさせません。
インテリアから調度品に至るまで30年前の姿を保ちながらも時代の変化や要請に合わせ、適度な変化と工夫を加えていることが観察すると見てとれます。
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ひとつ下階のジャパニーズダイニング・梢でいつもの底の深い天丼をいただきながら、客室の用意ができるのを待ちます。ほどなくしてスタッフがキーを持ってあらわれました。
GUEST ROOM
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エレベーターで客室階にのぼり、雁行したグリーンの廊下を進んでいきます。
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「道 ラ・ストラーダ」の映画監督フェデリコ・フェリーニの達者なスケッチがいつものとおり迎えてくれます。
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スタンダード客室であるパークデラックスに到着です。
今回は新宿向きの部屋を希望しました。
30年近く前の建物ということもあり、天井高など新しいホテルより若干抑えめですが、それが逆に親密さを醸し出してくれています。
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それでいてなおかつ当時のスッとした緊張感は保たれたままです。
どこまでも広がるグリーンのカーペットや彫刻のような造作家具など、このホテルでしか見られない意匠に満ちています。
10年前初めて泊まったときはあまりのデザインの素晴らしさに興奮して眠れなかったものですが、今となっては別宅のように慣れ親しんだものを感じます。
この日、ミニバーにはルイナールのボトルが用意されていました。
SPA
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ひととおり荷物をクローゼットで整えた後は、スパのクラブ・オンザパークへ。
緑色の大理石(蛇紋岩)がふんだんにあしらわれた大浴場と個室サウナでしばし憩います。
今ではメジャーブランドのイソップですが、アメニティとして日本に導入されたのはこのホテルが初と言われています。
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ロッカールームに足を踏み入れると他のインテリア同様、モーフォード氏のデザインにより巧妙に配置されたミラーが出迎えてくれます。
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スパゾーンからエレベーターで上階にあがると、アトリウムのほとんどを占める巨大なプールが眼前にあらわれます。
四方上方に開かれた水中で泳いでいると、本当に都心の空中に浮かんでいるかのような錯覚を味わえます。
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気がつくと日はすっかり暮れ、照明とともにプールサイドの様相は闇へと移ろっていました。
夜の都会を見おろすランニングマシーンも最新鋭の機器で健在です。
MIDNIGHT
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一日のクライマックスはいつものとおりニューヨークバーで過ごします。
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スパイシーなサラミの香ばしいピッツァをほおばりながら、このバーの主役・ディーバと3人組の奏でるグラマラスかつシックな演奏に身をゆだねていきます。
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ターンダウンされた客室に戻り一息ついたあとは、荘厳なシンメトリーの浴室に浸かりながら体をほぐして眠り支度をします。
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しかしながら屋内で完結するバスルームとしては、国内でこちらを凌ぐデザインを10年間体験したことはありません。
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SKYSCRAPER
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目覚めると某国の摩天楼のオマージュのような景色が窓から広がっています。
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朝食を卵料理からオーダーし、しばし待ちます。
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ふと窓際をみるにつけ、あの映画の名シーンのように腰掛けるには少し窮屈な思いをしたのでは、と余計な邪推をしてしまいました。
TIMELESS PLACE
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チェックアウトを済ませ、帰路につきます。
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今回も良い滞在でした。
新宿に四半世紀以上構えるこのホテルとのつきあいは10年近く前からになりますが、デザインや映画など、カルチャーに興味のある人なら必ずどこかでつながりがあるのではないでしょうか。
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新しくオールドなこの場所は、ホテルという存在を超えた文化の集合地点と言っても過言ではないでしょう。
【滞在したホテル】