ホテルグランヴィア岡山は身近なホテル。
白く高いビルは四半世紀にわたって岡山の駅前を見守っています。
このホテルにはいろんなお部屋があるけれど、リニューアルフロア以外は少し古さが目立ってしまいます。それはスイートルームにも言えることです。
今回はリニューアルされていないホテルグランヴィア岡山のジュニアスイートに滞在。
古いけれど美しい造形が散りばめられたホテルグランヴィアをお楽しみください。
グランヴィアステイの始まり
車を地下駐車場に停めてロビーに上がったのは15時半ごろ。
平日のためでしょうか、人はまばらで思いのほか静かです。
久しぶりのチェックインにわたしの心は少し躍っていました。
今回のお部屋は最上階グランヴィアフロアにあるジュニアスイート。
グランヴィアフロアにはロイヤルスイート・エグゼクティブスイート・ジュニアスイートのほか、ツインやダブル・シングルのお部屋もあります。
エレベーターホールから右に進むと、廊下は途中でカーブ。
ホテルグランヴィア岡山は「くの字型」の建物で、各階のコーナー部分には「コーナーツイン」というお部屋が用意されています。
カーブの先、左手にはロイヤルスイートの荘厳な扉。
ジュニアスイートの扉はその先にある「普通の扉」です。
グランヴィアフロア・ジュニアスイート
荷物を運んでくれた案内係がお部屋の案内をしてくれます。
扉を開けると、また扉。しかも歳月の経過を感じさせる扉。
金色を使いがちなところもグランヴィアらしくてステキです。
扉を開けるとリビング。
オシャレな雰囲気が出ているけれど絶妙に使いにくい配置です。
大きなテレビのほかに、とくに何もないあたりがグランヴィアの潔さ。
ちゃんとグランヴィアマークのお水が2本。
コーヒーメーカーもあるので、何もないというのは言いすぎました。
ベッドはシモンズ製で寝心地は良好。
読書灯は真ん中からニョキっと生えています。
窓際のスタンドライトは良い色の光を返しています。
古いけれど美しい設えを楽しむ
都会の煌びやかなホテルと同じような「ジュニアスイート」をイメージすると、ここは期待外れでしょう。どうしてもここは設備の古さが否めないのです。
しかし、古いからダメなのではありません。
ホテルグランヴィア岡山の設えは、細かいところが美しいのです。
大理石や真鍮、ガラスをうまく用いた細工は主張することなく点在します。
ウエットエリアの磨き上げられた大理石とステンレス。
ふっくらと仕上げられたタオル。
ベッドに寝そべると、美しい造形が目に移ります。
金色の照明は内側に光を集めて天井に照り返します。
白々とした光が柔らかく落ちてくる様子は宇宙船のようであり、幾何学の楽しみです。
寝室に置かれた操作盤も、奥に潜む電話機も、古いけれど悪くないのです。
これらが最新鋭の物に置き換わるとしたら、少し悲しく感じるかもしれません。
わたしは美的な造形をいくつ発見できるだろうかと、楽しみながらお部屋を見ていました。
自然光の入り方も、飾られたアート作品も、お部屋の造形も、美しいと思えるものを見つけました。
ホテルステイの楽しみは美に触れること。
お部屋のようすを楽しんだあとは「美食」に触れる時間です。
19階のフレンチとメインバー
ホテルグランヴィア岡山の最上階はレストラン階。
岡山駅の東側に向かって開かれた窓が印象的です。
お食事はフランス料理プリドール。
岡山の夜景は控えめ。
窓際席をリクエストするほどのことはありません。
この日は窓から最も遠い席に着き、シャンパンとフレンチのコースをオーダー。
ブイヨン・ド・レギューム、アミューズと続くコース。
岡山県の素材を活かしたお料理にルイ・ロデレールがよく合います。
ステーキは奈義牛。
岡山県産の牛といえば千屋牛が有名ですが、奈義牛は赤身の味わいがしっかりとした美味な素材。
レアに焼き上げたステーキは適切な歯ごたえを保った状態で提供されます。
デザートは洋ナシのフランベ。
丁寧な作業と立ち上る炎を楽しんだのち、豊かな香りをまとうデザートでコースを締めくくるのです。
レストランでの食事を終えてお部に戻ろうか、と思うはずもなく。
同じフロアにあるメインバー・リーダーズを訪れます。
リーダーズは岡山の紳士淑女が来る店。
落ち着いた店内には小さな声と転がる氷、そしてシェーカーの音。
コスモポリタンとグラスホッパーの対比が偶然にも美しく印象的でした。
アールデコを意識した装飾はホテルグランヴィア岡山の随所にみられますが、メインバー・リーダーズはその雰囲気を最も美しく表す場所といえます。
昼下がりに帰宅
ホテルグランヴィア岡山のチェックアウトは12時。
朝食を終えて部屋で寛ぐには適度な時間です。
部屋のあちこちを観察したり、ロビーを歩いてみたり、シャワーを浴びてベッドに転がってみたり。
チェックアウトまで間、無為に時間を過ごすことに幸せを感じるのです。
時計が12時を指すころ。チェックアウト。
このホテルには何度来たことでしょう。
見慣れたロビーの装飾も、地下駐車場の空気も、いつもの帰り際と同じ印象。
このお決まり感がよいのかもしれません。
次回は2階でランチかなと思いながらホテルをあとにします。
【滞在場所】