聴いているだけで落ち着くメロディーが印象的なJET STREAMのオープニング曲。
あなたも聴いたことがあるかもしれません。
美しい音楽が就寝前のひと時を優しく包み深い眠りへと導いてくれるラジオ番組JET STREAMのテーマソングのお話です。
JET STREAMのオープニング
東京から岡山に帰るときはいつも羽田発の最終便に乗っていました。
真っ暗な空に舞い上がり、月明りを受けながら1時間のクルージング。
ふと窓の外を見下ろすと、どこかの街の明かりが瞬いていたものです。
ジェットストリームはTokyo FMをキー局に毎週月曜から金曜日の深夜0時から放送されている音楽番組。
もう50年も続く長寿番組です。
長い間日本航空が単独スポンサーとして放送していましたが、一時イオンとの共同スポンサーとして番組を支えました。
日本人が世界の国に旅することを夢見た時代から、誰もが自由に世界を旅することができるようになった今日まで、ジェットストリームのオープニング曲は変わることなく流れてきました。
ミスター・ロンリー。
その調べに乗せて語られるナレーションは美しい日本の言葉です。
遠い地平線が消え
深々とした夜の闇に心を休めるとき
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は
たゆみない宇宙の営みを告げています
満天の星をいただく果てしない光の海を
豊かに流れゆく風に心を開けば
きらめく星座の物語も聞こえてくる
夜のしじまのなんと饒舌なことでしょう
光と影に消えていった遥かな地平線も
まぶたに浮かんでまいります
私はこのナレーションが大好きです。
不思議な違和感を覚える詩の内容が、ミスター・ロンリーの美しく安定した曲にマッチしているように感じます。
JET STREAMが美しいのはなぜか
詩の内容は、ものすごく違和感を感じるのです。
飛行機の旅は決して静かなものではありません。飛行中はずっとジェットエンジンの音がしています。
しかし夜のイメージは静寂。
真っ暗な夜の空は、輝く星以外に語るものはないのです。
吹き抜ける風も、飛び立つ飛行機も。夜間飛行は無音なのです。
この違和感が美しんだと思います。
この詩の中で語りかけてくるものは常に無音。
音もなく流れる気流が宇宙の営みをつげ、夜のしじまが饒舌なのです。
語らずとも伝わる大宇宙の摂理を語っているような情緒が感じられますね。
飛行機で夜空に飛び立つと、昼間とは違う地上の景色と遠くの星がとても美しいのです。
JET STREAMのオープニングはそんないつもと違う非日常の感覚を呼び起こしてくれます。
寝る前に聴きたい癒しの音楽
一日の仕事を終えて眠りにつく前の時間に、JET STREAMのオープニング「ミスター・ロンリー」を聴くと大空の下に生きる自分自身がいかに儚いか、そして大空の下に瞬く無数の明かりの中にどれだけの儚い人間の暮らしがあるのかを想像せずにはいられません。
遠い外国でも、あるいは同じ国の中でも、夜の静寂の中でみんな夢を見ています。
明日がいい日であるように、そして誰もがいつか夢を叶えられるように、毎日を懸命に生きています。
一日をがんばった自分に癒しの言葉と音楽をくれるJET STREAM。
眠りにつく前の束の間に聴く「ミスター・ロンリー」は至福の音楽です。
みなさんもいつか、JET STREAMの夜間飛行に出かけてみてはいかがでしょうか。