ふるさと納税は損か得か考えてみた

知っておいても損しない話
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年末が近づくと「ふるさと納税」をかけこみ実施している人もたくさんいることと思います。

わたしも昨年は「ふるさと納税」を年末ぎりぎりに実施したのでセーフだったわけですが、今年はあまり気が乗らないというか。


今年はふるさと納税しなくていいかなと考えています。


世間ではふるさと納税が得だと騒がれていますが、なにがどう得なのか正しく理解されていないような気がして。

今回はふるさと納税についてメモ程度に仕組みと損得勘定を考えてみたいと思います。

ふるさと納税は「節税」ではない

ふるさと納税について話をしているとよく出てくるのが「節税」という言葉です。


しかし、「ふるさと納税=節税」と簡単に言ってしまうのはちょっと違います。

ふるさと納税は「税金が安くなる制度だからやらないと損だ」と思っている人もいますが、本来の制度目的は「節税」ではありません。


では、ふるさと納税とはどんな制度なんでしょうか。

ちょっと整理してみましょう。

ふるさと納税はあくまでも「寄附」

ふるさと納税という名前がついているので誤解を生みやすいですが、実際は「地方自治体への寄附」です。


個人からの寄附を通じて地域の創生を促す制度なので「減税政策」ではありません。


地方創生が目的なので、自分の生まれ故郷だけでなく、応援したい地方やゆかりのある地方など好きな自治体へ寄附金を贈ることができる制度になっていますよね。


ふるさと納税では、各地域のお米やお肉といった特産品や名産品が「返礼品」として貰えることが多いため、返礼品の商品価値を考慮すれば単に税金を払うよりトータルではお得だといえます。

しかし、あくまでも寄付行為に対する「返礼品」は気持ち程度のものであり、過剰に豪華なものは自粛する動きも活発になってきていますね。


返礼品の内容が悪くなったから寄附しないというのは、地方を応援するという本来的なふるさと納税の趣旨を考えればちょっと自分勝手な話ですが、一般市民の感覚ではお得感が減少したようにしか見えません。


でも、あくまで寄附ですから。

自治体からの返礼品の豪華さで寄附する自治体を選ぶのは制度の趣旨と違いますよね。


ふるさと納税は損か得か

1年間で一定の寄附を行うと「寄附金控除」という税金の減額措置が受けられます。

寄附した金額は税額控除されます。


ふるさと納税では、地方自治体に寄附すると「返礼品」と寄附を証明する「受領書(寄附金受領証明書)」が送られてきます。
寄附した翌年に確定申告をおこなうと、収入等によって定まる寄付金の上限金額までが税額控除され、所得税の還付や個人住民税の控除が受けられます。


翌年の税金が安くなるなら得じゃない??と思う人も多いですが、そんなに単純な話ではありません。


返礼品を考えなければ「ふるさと納税」は普通に税金払うより2千円の損

ふるさと納税をおこなっても税額控除される寄附金控除は寄附した金額のうち2千円を超えるものからです。


全額ではありません。

5万円寄附しても控除されるのは4万8千円です。


所得税の還付や住民税の減額があるので税金は安くなります。

しかし、安くなった税金に相当する金額は「先払い」で各自治体に寄附しているだけです。

それも寄附した金額のうち2,000円は控除されない部分ですから、ふるさと納税を行うよりも普通に納税したほうが負担は2,000円低いのです。


でも、たった2千円の自己負担で数千円から数万円相当の返礼品をもらえるならお得じゃないの??


その通りです。

ふるさと納税は「ある程度の価値を持った返礼品」があって初めてお得になる制度ですね。

返礼品がなかったら、全然お得じゃないです。


というか、制度の基本が寄附なので節税とかお得とかそんな話ではありません。

応援したい自治体に自分の資産の一部を寄附する人にちょっとしたベネフィットを提供し、残りは地域の発展のためにしっかり使ってくださいねって制度です。


返礼品はもらえたらラッキーというくらいの制度ですよね。


ふるさと納税は本当にお得なのか

地方の特産品を返礼品としてもらえれば「お得感」が出てきますが、どうなんでしょう。


ふるさと納税によって納税者も自治体も両方が得をする制度ならいいですが、世の中そんな都合の良い事ばかりではありません。

ここからはふるさと納税を利用する人と自治体の関係に注目して考えてみましょう。


返礼品をもらう人はお得

いままで税金として納めていた金額をふるさと納税に回すことで、返礼品を手にすることができます。

牛肉や鮮魚、果物、お米など各地の特産品をわずか2千円で手に入れることができるので確かにお得です。


自己負担の2千円はふるさと納税の上限金額にかかわらず一定です。


多額の住民税を納付している人は「ふるさと納税の上限額」も大きいため、ふるさと納税の返礼品によるメリットが大きくなりますよね。

たとえば、こんな高額なプランもあります。


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でも、寄附ばっかりしていると自分自身が生活している自治体への納税額はどうなるんでしょうか。

実はこの辺りを考えていくと、ふるさと納税の問題点が見えてきます。


ふるさと納税は自分の住む自治体の税収を圧迫する

ふるさと納税による税収圧迫についてはあまり意識しない人がほとんどではないでしょうか。

でも、この問題は将来的に自分自身に跳ね返ってくる問題です。


ふるさと納税は自分自身の出身地や縁の深い土地に寄附をすることで、地域を活性化するための資金を提供し応援するという制度です。

寄附したお金が税金(住民税)から控除されますよね。

住民税が減額されるということは、自分自身の住む自治体への納税額が減るということです。


少なくとも今住んでいる自治体はリアルタイムでお世話になっている生活拠点ですよね。

そんな自治体への納税はしっかり行わないといけません。


普段利用する公共サービスはすべて今住んでいる自治体が提供するものです。

返礼品が豪華だからと言って、あちこちにふるさと納税をしまくるというのはどうも紳士的ではありません。

今の生活拠点があっての所得なのです。


「返礼品をたくさんもらえば得だ!!」と思って、上限ぎりぎりまでふるさと納税をおこなうのが間違っているとは言いません。

しかし、ふるさと納税は「自分自身が住んでいる自治体の税収を減らす行為」であることも合わせて知っておくべきだと思います。


公共サービスへの不平不満はあちこちで聞かれますが、公のサービスは安定した税収がないと提供できません。

一過性の損得勘定で動いてしまうと、あとで後悔することがあるかもしれません。

自治体を支えるのは住民が収める税金です。


もっと地元にお金を落として、地元の暮らしを豊かにすることも考えないといけませんよね。


税金は地元にきっちり収める。

そして、全国の特産品はお金出して買う。

これが本来の姿です。


まとめ

ふるさと納税は趣旨を正しく理解して活用すれば縁のある土地を応援できる良い制度です。

人口減少が進む地方都市に都会からの寄附が集まれば収入の下支えになり、過疎社会でも公共サービスを維持向上していくことができるようになるでしょう。


しかし、そこには厳しい競争もあります。

ふるさと納税の理念として掲げられていることが薄れ、返礼品を基準に寄附する自治体を選ぶ人が大多数になっています。


返礼品が豪華であれば確かにお得です。

でも自治体の間で過剰な競争を生んでしまうのも否定できません。

ふるさと納税で寄附を集めようとすれば、泉佐野市みたいな自治体が出てくるのもしかたありません。


返礼品で選ぶのではなく、本当に応援したいと思える自治体に寄附したほうが有意義です。

しかし、返礼品の豪華さで選んでしまうのが人間です。


私はもう「ふるさと納税で損得を考える」のをやめました。

それとともに「自分自身を育んでくれた地元の自治体にしっかり納税しよう!」と思い始めました。


そして「大切な土地や縁のある土地には足を運びお金を落とし、消費することでサポートするほうがいいのでは??」と思い始めました。

その一方で「災害などで苦しんでいる小さな自治体には、ふるさと納税で大きな支援が寄せられるといいよな。」とも思います。


ふるさと納税は地方自治体にとって貴重な収入源になっているのかもしれません。

「寄附したお金」をどう使ってほしいのかを考えていくことで、きっと損得だけではない「気持ち」が見えてくるはずです。


いろいろな自治体をサポートする方法として「ふるさと納税」が活用されればいいのかなと思います。

私は今年もふるさと納税は利用せず、必死に地元へ納税したいと思います。



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この記事を書いた人

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